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データセンターの消費電力はどれくらい?現状や増加の背景、省エネ対策を解説

インターネット検索やAIサービスの利用は、私たちの生活に欠かせないものになりました。その裏側では、データを処理するデータセンターが大量の電力を消費しており、消費電力量も年々増加しています。電力需給のひっ迫やデータセンター建設の遅れなど、さまざまな課題も表面化してきました。

この記事では、データセンターの消費電力の内訳や消費電力増加の影響を解説します。あわせて、国が進める省エネ対策についても見ていきましょう。

データセンター1棟あたりの消費電力

データセンターとは、サーバーやストレージなどのIT機器を集約して設置し、情報の処理や保存を行う施設のことです。SNSへの投稿や動画の視聴、AIへの質問など、私たちがインターネット上で行うほとんどの活動は、どこかのデータセンターで処理されています。

その規模は施設によってさまざまで、消費電力にも大きな違いがあります。1社が利用する小規模な施設では消費電力が数百kWから数MW程度にとどまる一方、近年増加しているハイパースケールデータセンターと呼ばれる大規模施設では、消費電力が数十MWに達するケースもあります。

数十MWと聞いても、規模をイメージしづらいかもしれません。たとえば、50MW級のデータセンターが1か月に消費する電力量は、一般家庭のおよそ5万軒分に相当するといわれています。

家庭の電気は、使う時間帯によって消費量に大きな差があり、夜間や外出中は契約容量いっぱいの電気を使うことはほとんどありません。一方、データセンターは24時間365日稼働し続ける施設です。使用量が少ない時間帯がほとんどないため、契約容量以上に、実際の電力消費量は大きくなる傾向があります。

近年は、生成AIの学習や推論を担うAI専用データセンターも登場しています。GPUと呼ばれるAI処理専用の半導体は、従来の汎用サーバーに比べて消費電力が大きく、発熱量も多いのが特徴です。こうした施設の広がりが、電力需要をさらに押し上げる要因のひとつになっています。

データセンターの消費電力の内訳

データセンターで消費される電力の内訳は、大きく「IT機器」と「冷却・空調設備」に分けられます。サーバーなどのIT機器は稼働時に大量の熱を発生させるため、機器を冷却するための空調設備にも多くの電力が使われています。

環境省の資料によると、一般的なデータセンターの総消費電力のうち、冷却用設備が45%、IT機器が30%を占めています。また、IT機器の内訳については、サーバーとストレージがそれぞれ約40%を占めています。

ただし、この割合は施設の省エネ性能によって変わる点に注意が必要です。冷却効率の高い最新のデータセンターほどIT機器の割合が高まり、逆に効率の低い施設ほど冷却にかかる電力の比率が大きくなる傾向があります。

なお、送電や変圧の過程で発生する電力の損失、いわゆる変換ロスを抑える工夫も、電力を無駄なく使ううえで欠かせません。

出典:環境省「IT機器等の消費電力・排熱量」(https://www.env.go.jp/air/tech/model/heat_aeh-wg2-20_02/ref01.pdf

データセンターの電力需要は年々増加

日本は人口減少が続いており、この背景から電力需要も長期的に減少していくと見込まれていました。しかし、データセンターや半導体工場の新設・増設が相次いでいることを主な要因として、資源エネルギー庁がまとめた見通しでは、電力需要が増加傾向に転じることが示されました。

生成AIの学習や推論には膨大な計算処理が必要となるため、AI関連のデータセンターほど電力需要の伸びが大きくなる傾向があります。とくに、データセンターは国内の東京圏・中部圏・大阪圏に集中して立地する傾向があり、今後は北海道など特定のエリアで電力需要が急速に高まると予測されています。

実際に、東京電力パワーグリッドには、現時点で約9,500MWにものぼるデータセンターからの接続申し込みが集中しているとされ、電力インフラへの影響の大きさがうかがえます。電力広域的運営推進機関の想定によると、2034年度までにデータセンター関連の電力需要は、年間でおよそ440億kWh増加する見通しです。

電力需要の増加にどう向き合うかは、社会全体で考えるべき課題になっています。

出典:資源エネルギー庁「今後の電力需要の見通しについて」(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/085_06_00.pdf

こちらの記事では、電力の大量消費について解説しています。電力が大量消費される原因や対処法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

データセンターの消費電力が増えることで起こる問題

データセンターの消費電力が増え続けると、施設を運営する事業者だけの問題では済まなくなります。電力は限られた資源であり、特定の場所で需要が急増すれば、その影響は周辺の家庭や企業にも及びかねません。ここでは、消費電力の増加によって生じる主な問題を紹介します。

電力需要がひっ迫する

現在、データセンターの多くは、通信インフラが整い、需要地に近い都市部に立地する傾向があります。その結果、特定のエリアに電力需要が集中し、供給力とのバランスが崩れやすくなるという課題が生じます。

電力需給がひっ迫する事態が起きれば、その影響を受けるのはデータセンターだけではありません。周辺の家庭や他の産業も含めて、電力の供給が不安定になったり、電気料金に影響が及んだりする可能性も指摘されており、無関係な問題とはいえません。

データセンターの建設が遅れる

電力需要の急増は、新たなデータセンターの建設にも影響を及ぼしています。電力会社への接続を申し込んでから、実際に電力の供給が始まるまでには、早くて5年、長い場合には10年近くかかることもあるといわれています。

背景には、変電所などの送電インフラの整備が、データセンターの新設ペースに追いついていないという事情があります。変圧器などの機器不足も深刻化しており、電力インフラの整備状況が、データセンターの立地計画そのものを左右する時代になりつつあります。

建設に制限がかかるケースも

海外では、電力需給への影響を理由に、データセンターの建設そのものを制限する動きも出てきています。たとえばアイルランドでは、データセンターが国内の電力消費に占める割合が2割を超える水準まで上昇し、新規の建設に制約を設ける議論が進められました。

こうした事例は、日本でも起こり得る課題です。データセンターの立地が特定の地域に集中し続ければ、同様の課題に直面する可能性は十分にあります。

環境負荷が増大する

安定した電力を確保する必要があるデータセンターでは、出力が安定している火力や原子力などの電源が重要な役割を担っています。

一方で、企業には脱炭素経営への対応も求められています。事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す国際的な取り組みであるRE100へ参加する企業も増えてきました。

安定した電力供給と脱炭素の両立が課題となっており、安定供給と環境負荷の低減を両立させるためには、電力の使い方だけでなく、調達方法そのものを見直す視点が欠かせません。

データセンターの省エネ対策

データセンターの消費電力が社会的な課題となるなか、国や事業者は対策を進めています。カギを握るのは「制度」「技術」「立地」という3つの軸です。ここでは、それぞれの取り組みを詳しく見ていきましょう。

資源エネルギー庁による取り組み

国は、省エネ・非化石転換法にもとづき、データセンター業に対する規制を段階的に強化しています。2022年には、省エネ法のベンチマーク制度の対象にデータセンター業が追加され、事業者にはPUEの報告が求められるようになりました。

PUEとは、データセンター全体の消費電力を、IT機器だけの消費電力で割った値のことで、空調や照明などIT機器以外にどれだけ余分な電力を使っているかを示す指標です。数値が1に近いほど、無駄が少なく効率的に運用できていることを意味します。

ベンチマーク制度における現在の目標は、2030年度までにPUEを1.4以下にすることです。この水準は、各業種で上位1〜2割程度の事業者が満たすことを想定して設定されており、決して低いハードルではありません。

さらに2026年4月には、この制度に加えて、排出量取引制度(GX-ETS)が本格稼働しました。一定規模以上のCO₂を直接排出する事業者を対象に、政府が排出枠を割り当て、事業者には実際の排出量に応じた排出枠を保有することが求められます。

ただし、既存のベンチマーク制度とは対象や時期が異なるため、両者を混同しないよう整理しておく必要があります。

出典:資源エネルギー庁「省エネ・非化石転換法に基づくデータセンター業に係る措置」(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/support-tools/data/dc_gaiyo.pdf

出典:資源エネルギー庁「データセンター業のベンチマーク制度 制度の概要」(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/support-tools/data/2023_01benchmark.pdf

目標・取り組み方針・実績を可視化

新たな措置のひとつが、データセンターの省エネに関する目標や実績の可視化です。2026年度提出分からは、定期報告書にPUEやエネルギー消費原単位などの項目が追加され、事業者は提出年度末までに、自社のホームページなどで情報を公表することが求められています。

取り組みが社会から見える形になることで、業界全体の省エネ意識を高めるねらいがあります。また、このような可視化は、安定的にデータセンターを運営するうえで必要な取り組みといえるでしょう。

満たすべきエネルギー効率基準を設定

より踏み込んだ措置として、2029年度以降に新設されるデータセンターには、稼働開始から2年が経過した翌年度以降、PUEを1.3以下にすることが義務づけられます。現行のベンチマーク目標であるPUE1.4よりも厳しい水準であり、満たせない場合には、合理化計画の作成・提出とともに、対応状況によっては行政措置が取られる可能性もあります。

将来の基準を現時点で明確に示すことで、データセンター事業者が計画的な建設や省エネ技術の開発を進められるようにすることが、この措置のねらいです。

テナント型データセンターもPUE算定の対象に追加

これまでPUEの算定対象は、建物や空調設備を自ら保有・管理する事業者が中心でした。しかし、2026年度提出分からは、他社の施設を借りてIT機器を持ち込むテナント型の事業者も、PUEの算定・報告と新たな措置の対象に加えられています。

IT機器の稼働状況が施設全体の効率に影響することから、施設を利用する側にも省エネの責務が広がったといえます。

新技術の導入

制度面の対応に加え、物理的な冷却の限界を突破するための新たな技術開発も進んでいます。

液浸冷却

液浸冷却は、サーバーなどのIT機器を専用の冷却液に直接浸すことで熱を取り除く技術です。プールに体を沈めると、空気中にいるときよりも早く体温が奪われる感覚に近いものと考えると、イメージしやすいかもしれません。空気で冷やす従来の方式に比べて熱伝達の効率が高いため、冷却にかかる消費電力を大幅に削減できるとされています。

国内でも、通信会社や重工業メーカーによる実証実験が進んでおり、冷却にかかる消費電力を94%削減し、データセンターの効率を示すPUEを1.05まで改善できたとする結果も報告されています。今後は、こうした技術の本格的な普及が期待されています。

光電融合技術

光電融合技術は、これまで電気信号でやり取りしていたデータの一部を、光信号に置き換える技術です。電気は流れる際に熱を発生させ、これが電力消費や処理速度の低下につながっています。一方、光による通信は電気に比べて発熱が少なく、消費電力や遅延を抑えられるという特長があります。

国内の研究機関や通信事業者による開発が進んでおり、2030年をめどに、2023年時点で普及しているデータセンターと比較して4割以上の省エネに貢献する光電融合デバイスの実現を目指す動きもあります。

データセンターの地方分散

現在、国内のデータセンターは、サーバー面積ベースで約150万㎡、東京ドームおよそ30個分に相当する規模まで拡大しており、その多くが東京圏・中部圏・大阪圏に集中しています。

この一部地域への集中を緩和するため、再生可能エネルギーが豊富な地域への分散立地を促す動きが進んでいます。北海道や九州など、地方への新設を後押しする国の施策も進められており、電力需給の平準化や、災害時のリスク分散にもつながると期待されています。

地方分散が進めば、発電した地域でそのまま電力を消費する、いわゆる地産地消型の活用も広がりやすくなるでしょう。

データセンター向けPPAの導入

PPA(電力購入契約)とは、発電事業者と需要家が直接契約を結び、再生可能エネルギーによる電力を長期的に調達する仕組みです。初期投資を抑えながら再生可能エネルギーを安定的に確保できる手段として、データセンター事業者からの注目が高まっています。

実際に国内でも、大手IT企業がデータセンター向けに発電事業者と直接契約を結び、再生可能エネルギーを調達する事例が出てきています。

自社で発電設備を建設するよりも短期間で導入でき、価格変動の影響を受けにくい点も、PPAが選ばれる理由のひとつです。

まとめ

データセンターの消費電力の増加は、AIやデジタル技術の普及を支える裏側で進んできた、社会全体に関わる課題です。国は制度面の規制を強化し、事業者は液浸冷却や光電融合といった新技術、再生可能エネルギーの活用によって対応を進めています。

こうした動きから見えてくるのは、電力会社から電力を購入するだけに頼るのではなく、自ら確保していく姿勢の大切さです。これは、データセンターのような大規模施設に限らず、家庭や企業にも共通するテーマといえるでしょう。

自ら電力を確保する方法のひとつが、太陽光発電です。太陽光発電を導入すれば、太陽の光を電力として活用できるため、電気代の削減やCO₂排出量の削減にもつながります。

レクソルでは、千葉県を中心に太陽光発電を含め、蓄電池、V2Hシステム、オール電化住宅、エコキュートなどの環境に配慮したエネルギーソリューションを提供しています。お客様一人ひとりに合ったプランを提案し、エコで経済的な暮らしを全力でサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

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